ゆななの昭和ラブホ旅行記~ホテル ニュー岬~
目次
私は単身で日本全国、北海道から沖縄までの昭和ラブホを200軒以上巡り、SNSや書籍出版などを通し魅力を発信しています。
1985年に新風営法が施行され、それ以降はラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することが難しくなってしまいました。
昭和ラブホとは、新風営法の施行前に建てられて大きな改装をせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指します。
昭和ラブホの王道である回転ベッドや鏡張りの部屋、エアシューターなど……。当時を知る人にとっては懐かしく、平成生まれの人にとっては新鮮に感じられるのではないでしょうか。
今回ご紹介する昭和ラブホは埼玉県越谷市にある「ホテル ニュー岬」。浦和インターチェンジから車で10分の場所にあります。(※2024年に撮影した写真です。改装されている場合があるため、最新の情報はホテルへの問い合わせをお願いいたします)
それでは私イチオシの4部屋をご紹介していきます。まずは33号室。
床は畳、木目の美しいローテーブルと座布団が置かれていて、入室した瞬間「ここはラブホテル?旅館みたい!」という気持ちになりました。視線を上に移すと、天井は木製の梁が組まれた間に、うねるようなマーブル模様が施された鏡張りで、和の空間に唐突なゴージャス感と非日常感を演出しています。
部屋を優しく照らすのは、和紙を通した柔らかな光を放つ大きな提灯型の丸いライト。ベッドの真っ白な布団の中央は楕円形にくり抜かれ花柄が覗いており、和の雰囲気をより高めています。
ベッドの枕元にあるのは、真っ赤なボディが目を引くダイヤル式の電話機。受話器の持ち手やダイヤルには煌びやかなゴールドの装飾が施されていて、これ一つで昭和感が一気に強まります。
浴室の壁一面に貼られた正方形のタイルは、オレンジのような明るめの茶色から深みのある茶色へと変化する焼き物のようなグラデーションが美しく、当時のポップな色彩感覚を色濃く反映しています。清潔感のある白いバスタブとのコントラストが絶妙な空間!
また、大理石調のカウンターの洗面台には、壁に直接備え付けられたドライヤーや、綺麗に並べられたボトル入りのアメニティなど、「おもてなし」の心が感じられます。
特に印象的なのは、鏡に設置されたこちら……!
造花がディスプレイされたこれは、下からティッシュペーパーを引き出せる実用的なケースなのです!これまでに数々の昭和ラブホを巡ってきましたが、初めて見ました。どうやら特注品のようです。一目惚れして、自宅にも設置したくなりました。
そして、この特別な空間への入り口もまた、当時の面影を強く残しています。ガレージから直接部屋へ入る「ワンガレージワンルーム」。お客さんのプライバシーを守るための緑色のびらびらしたビニールカーテンが掛けられています。年季の入った鉄製のドアには「33」という部屋番号を示す六角形のプレートや、「ご休憩(3時間)」の料金案内、そして「18才未満の方の御入場は堅くお断り致します」という厳格な赤と黒のフォントの注意書きが貼ってあり、独特の生々しさを漂わせています。
続いて、31号室をご紹介。
ベッドに、ぽってりとしたフォルムが特徴的なキャメル色のソファ、木製のテーブルが配置されています。ベッドの枕元には、鮮やかな赤色のダイヤル式電話機が置かれていて、令和になってもこれが現役で使えるなんて最高です!また、ベッド横の壁面には、四角形が連続する模様がプリントされた大きな鏡が設置されており、部屋を広く見せるとともに、ラブホ特有の艶やかな雰囲気を醸し出しています。
私が好きなポイントは、足元に広がる宇宙柄のロマンチックな絨毯。深いネイビーブルーの背景に、淡いブルーとイエローで太陽、三日月、そして無数の星々や銀河のような渦が散りばめられています。非日常的なテーマが、足元いっぱいにダイナミックに表現されています。
壁面の照明がとても印象的で、琥珀色のガラスシェードのブラケットライトがあります。パイナップルのような細かなカッティングが施され、クラシカルなアームで支えられて個性的。さらにその上部の天井は、赤と金のマーブル模様になっていて、昭和のゴージャスな美意識が凝縮された濃厚な空間を作り上げています。
浴室は部屋の絨毯の雰囲気に合わせてなのか、淡いブルーの正方形タイルが壁一面に貼られており、ところどころに花が描かれています。どこかホッとするような空間です。
続いて36号室をご紹介。
部屋全体を包み込むのは、可愛らしいヨーロピアン調の花柄の壁紙。壁の下半分は温かみのあるイエロー系で仕上げられており、上下を区切る白いモールディングが空間を上品に引き締めています。
室内を見渡して特に印象的なのは、ベッドスペースと手前のソファスペースを区切るように設けられた、西洋建築を思わせるアーチです。そのアーチの傍らには、ヤシの木のような観葉植物が置かれています。
手前のスペースにはガラス張りのローテーブルや、落ち着いた色合いの柄物ソファ、さらにハンガーラックなどが配置されており、まるで一昔前の応接間のような、ゆったりとしたくつろぎの時間が想像できます。
ベッドの真上の天井は、豪華な鏡張り。さらに壁にはレースの白いカーテンがあり、そこを開けると昭和ラブホあるあるな鏡張りが登場!この仕掛けがたまりません。密室の中に幻想的でエロティックな奥行きをもたらしています。
この部屋にもダイヤル式電話機を発見。丸みを帯びたフォルムや、指を入れて回す透明なダイヤル盤は、今の時代にはあまり見られなくなりました。
浴室は白を基調とした清潔感のある空間が広がっています。壁面は白い正方形のタイルで覆われていますが、その途中に黒のひし形模様のあるタイルが帯状にあしらわれて、おしゃれな印象。浴槽はなめらかな曲線を描く白いジャグジーバスで、壁面には備え付けの浴室テレビも埋め込まれています。
最後に、26号室をご紹介します。
ベッドのグリーンがいいアクセント!天井からぶら下がるクラシックなデザインのシャンデリアや壁面のライトが、部屋全体を優しく照らしています。
またもや枕元には鮮やかな赤色と黒、眩いゴールドのパーツが組み合わされた、重厚感のあるダイヤル式電話。この配色、ありそうでなかなか見かけない気がします。
同じく枕元には「SOUND MUSIC & LIGHT CONTROL」と書かれたコントロールパネルがあります。パネルの背景には美しい夜景がプリントされていて、並んだスイッチやつまみを操作する感覚が「今、ラブホに来ているんだ」という気持ちを高めてくれます。
入り口付近には丸みのある淡いピンク色の二人掛けソファーが置かれています。ゆったりとしたくつろぎの時間が想像できますね。
浴室は、先にご紹介した36号室と同じタイルですが、バスタブの形が違います。一見すると同じに見えますが、それぞれの浴室の違いを探すのが楽しいです。
そして、退室時に目にするのは、「ありがとうございました またのご利用をお待ちしております」の看板。お客さんを最後までノスタルジックに見送ってくれます。
ホテル ニュー岬、いかがでしたでしょうか。
外観は一部分がお城のようになっていて目を惹かれます。
レトロ好きはもちろん、和風好き、可愛い洋風な部屋が好きな人も楽しめる部屋が勢揃いしています。私は今回コラムを執筆していて、和風部屋でのんびりとくつろぎたい気分になりました。実際、和風部屋はかなり落ち着くので、時間を延長して利用するお客さんも多いのだとか。どの部屋も長居したい気持ちになりますね。越谷に行った時はぜひニュー岬に足を運んでみてください!
ホテル ニュー岬
オフィシャルコメント
昭和レトロを残す伝説のホテル。平日はフリータイム最大17時間、宿泊最大22時間の滞在
アクセス
北越谷駅から車で15分 / 浦和インターチェンジから車で10分
住所
