ゆななの昭和ラブホ旅行記~ホテル エーゲ海~
目次
私は単身で日本全国、北海道から沖縄までの昭和ラブホを200軒以上巡り、SNSや書籍出版などを通し魅力を発信しています。
1985年に新風営法が施行され、それ以降はラブホテルに回転ベッドや一定以上の大きさの鏡などを設置することが難しくなってしまいました。
昭和ラブホとは、新風営法の施行前に建てられて大きな改装をせずに当時の趣が残っているラブホテルのことを指します。
昭和ラブホの王道である回転ベッドや鏡張りの部屋、エアシューターなど……。当時を知る人にとっては懐かしく、平成生まれの人にとっては新鮮に感じられるのではないでしょうか。
今回ご紹介する昭和ラブホは「ホテル エーゲ海」。エーゲ海という屋号のラブホは各地にありますが、こちらは静岡県静岡市にあります。アクセスは東名高速道路、静岡ICより国道150号を焼津方面へ車で10分。ですが私は、最寄りのJR用宗駅から徒歩20分かけて向かいました。歩けない距離ではないので、車がなくても行くことができます。
今回は私のイチオシの3部屋をピックアップしました。ぜひ最後までお見逃しなく!
まずは301号室、中華の部屋。
扉を開けた瞬間、現代の洗練されたホテルのデザインとは一線を画す、想像を超えた装飾と遊び心に満ちた昭和ラブホの世界が広がっています。まるで竜宮城か中国の宮殿に迷い込んだかのような気分に!
目に飛び込んでくるのは、ベッドルームとソファスペースを隔てる、大胆な円形の「月洞門(げつどうもん)」。その周囲には、黄金に輝く龍と鳳凰が立体的に彫り込まれていて迫力があります。金色の狛犬も鎮座し、こちらを見ているかのようで、お客さんを現実世界から夢の空間へと引き込んでくれます。
さらに視線を上に移すと、そこにあるのは寺社仏閣を思わせる緻密な「格天井」が。一枚一枚丁寧に黄金の龍や鳳凰のレリーフがはめ込まれ、中央には八角形の豪奢な照明があります。
こんなものも発見!龍から照明がぶら下がっています。手彫りなのでしょうか……。龍の髭や鱗などがとても繊細で、当時の職人たちの情熱がひしひしと伝わってきます。
ベッドの枕元にある操作パネルには、今では珍しい「National」のロゴが入ったスイッチや調光ダイヤルが並び、カチッというプラスチックの感触がクセになります。
水回りに足を踏み入れると、洗面所は大理石のカウンターと鮮やかな赤いタイルのコントラストが、昭和レトロなキッチュさを醸し出しています。
浴室のガラス戸の前にそっと立てかけられたローションマットも存在感抜群です。ガラスが透けているので、お風呂場から部屋を見たり、部屋からお風呂を見ることができたり……。ドキドキ感が高まります。
現在は自動精算機での会計ですが、玄関のドアに設置された小さなステンレスの「お会計口」が残っていました。これは従業員と顔を合わせずに精算するという、当時のラブホテルならではの文化を象徴する貴重なものです。
続いては302号室。
事前にホームページで部屋の写真をチェックしていたのですが、全18室ある中で私が一番気になっていた部屋がこちら。
部屋の中央で圧倒的な存在感を放っているのは、巨大な銀色の宇宙船!
表面は鏡面仕上げのステンレスで覆われていて、潜水艦のような丸い照明や、階段まで付いていて、SF映画のセットに迷い込んだかのような気分になります。
この近未来感を感じさせるロマンチックな宇宙船の内部は、ベッドルームになっています。
空間の形状に合わせた円形の広々としたマットレスが敷かれ、壁には土星や惑星が浮かぶ宇宙空間が描かれています。柔らかな照明に包まれたこの空間は、まるで宇宙を漂う宇宙船のコックピットのようであり、外界の喧騒を完全に遮断してくれます。
没入感をさらに高めているのが、天井の装飾。
クラシカルで重厚なレリーフが施された額縁の中に、無数の星々が瞬く夜空が再現されています。洋風な額縁と、無限に広がる宇宙という一見アンバランスな組み合わせも、昭和ラブホテルならではの面白さです。深いブルーで統一された壁紙とも相まって、素敵なひとときを過ごせるでしょう。
ベッドからソファスペースを見下ろすことができるのも斬新。鮮やかなブルーのソファやウォーターサーバーなど、どこか生活感の漂うムードが感じられます。
タイル張りのシンプルな浴室は、この部屋の雰囲気に合わせてなのか一部に青いタイルが張られています。
この部屋に宿泊したので、雑炊をモーニングに頼んでみました。お米に出汁がしっかりと沁みていて、ほっとする味わい。朝食べるのにピッタリで、ドリンクも数種類の中から選ぶことができます。
そして、壁にはこんな説明書きが飾られています。この部屋は「宇宙の夜」という名前が付いていて、ネーミングセンスが素敵!もしかしたら昔は各部屋に名前が付いていたのかもしれません。最先端(当時)の宇宙旅行という壮大なファンタジーをどっぷりと感じることができて感動が止まりませんでした。
最後に305号室をご紹介。
まず出迎えてくれるのは、木の温もりを感じる格子戸風の玄関。きちんと並べられた黒い編み込みのスリッパと、壁面に描かれた枝葉のシックな壁紙が、これから足を踏み入れるプライベートな空間への期待を高めてくれます。
客室に進むと、思わず感嘆の声を漏らしてしまうほどの見事な和風空間が広がっています。部屋全体はくつろげる畳敷きの和室スタイルをベースにしていますが、一番目を引くのは、ベッドスペースをぐるりと囲むように配置された、大木をそのまま使ったかのようなダイナミックな木の梁です。この立派な梁が、部屋の中に「もう一つの特別な部屋」があるかのような、おこもり感と重厚感を見事に演出しています。
天井から吊るされた竹編みの丸いライトから漏れる光は、部屋全体をノスタルジックな色合いに。壁面には松の木を描いた絵が飾られ、和の格式を主張しています。その一方で、どっしりとした黒い革張りのマッサージチェアや、分厚い一枚板風の立派な座卓が違和感なくマッチしています。
他にも雪見灯籠を思わせる趣深い間接照明と、竹の柵を用いた小さな庭風のあしらいが施されており、限られたスペースの中に日本の美意識と遊び心をぎっしりと詰め込んでいます。
浴室はテレビ付きのゆったりとした造りですが、そこへ唐突に現れる「金色ラメ入りのスケベ椅子」には、思わずクスリとさせられます。こうした愛嬌のあるアイテムの存在が、レトロ空間の最高のスパイスに!
もちろん、客室側には大型テレビやウォーターサーバー、電子レンジなどの便利な設備が機能的に配置され、現代的な快適さへの配慮も欠かしていません。
ホテルエーゲ海、いかがでしたでしょうか。訪れる人をとことん非日常へ誘おうとするサービス精神が凝縮された空間です。白と青の爽やかな外観は遠くからでもよく目立っていました。私のYouTubeでは302号室を詳しく取り上げているので、そちらもご視聴ください。4
今回は中華、宇宙、和風の部屋をご紹介しましたが、他にシンプルな部屋もあるので、その日の気分に合わせて部屋を選ぶのも楽しそうです。静岡観光のついでなどにも、ぜひ訪ねてみてください!
ホテル エーゲ海
オフィシャルコメント
訪れる度にそれぞれのコンセプトをお楽しみいただける、 全18ルームのラブホテル!
アクセス
用宗駅から徒歩16分 / 静岡インターチェンジから車で10分
住所
